@phdthesis{oai:rakuno.repo.nii.ac.jp:00005501, author = {Kadowaki, Hazumu}, month = {Mar}, note = {Thesis, 近年、日本はいくつかの重要な家畜感染症の発生を確認している。2001年にはBSE が初めて確認され、2000年と2010年には口蹄疫が発生した。また、高病原性鳥インフルエンザの発生が続いており、これらの家畜感染症は産業動物に甚大な被害をもたらしている。したがって、発生確認後の迅速な対応と拡大防止策が事前に構築されていなければならず、科学的知見に基づいた感染症制御の在り方の議論は、食品安全および食糧安全保障上極めて重要なものである。疫学は集団を対象として疾病の分布や頻度、そしてそれらを規定する要因を明らかにする研究である。獣医学領域の疫学では、動物のみならず人を含めた集団を対象としているため、獣医疫学の適応範囲は非常に広い。獣医疫学の主な目的としては、疾病の原因を明らかにし疾病の予防や制圧に必要な施策を行うこと、疾病発生の将来予測、疾病の経済評価、動物の生産性の向上および人や動物の福祉の向上などがあげられる。本研究では、口蹄疫や狂犬病という動物衛生および公衆衛生上極めて重要な二つの感染症を取り上げ、感染症およびそれらに影響を受ける人の社会学的問題の制御方法について定量的検討を実施した。第2章では、感染症モデリングを用いて我が国の狂犬病予防対策の有効性について検討を実施した。第3章では、ベトナム国タイ・グェン省における狂犬病予防対策に関する知識、態度、行動の構造を明らかにすることを目的とした。第4 章では、2010年に宮崎県で発生した口蹄疫被災農家の再開を阻害する因子を探ることで、殺処分を伴う家畜感染症制御時の農家への支援の在り方についての検討を実施した。感染症モデリングの結果から、現在の日本の状況下では大きなアウトブレイクに繋がる可能性が低いことが示唆された。また、狂犬病発生時の飼主の対応が発生件数に大きく影響することが明らかとなった。したがって、狂犬病発生時の対応には犬の飼主に対する啓蒙活動が含まれるべきであると考えられた。また、感染症モデリングによる将来の発生予想は、感染症制御の在り方の議論に有用であることが示唆された。ベトナムでの社会学的研究の結果から、経済的に裕福で、狂犬病と予防対策について豊富な知識があり、予防対策に好意的な態度があると飼主によるワクチン接種が促されることが明らかになった。研究地域における、ワクチン接種率と犬の狂犬病ワクチンに対する支払い意欲は高かった。犬の繋ぎ飼いは普及していなかったものの、繋ぎ飼いを強制された場合にはほとんどの飼主がこれに応じるという結果が得られた。これらのことから、経済的に困窮している少数民族をターゲットとした狂犬病に関する啓蒙活動を実施が狂犬病撲滅に向けた対策に含まれるべきであると考えられた。また狂犬病において、重要なレゼルボアである犬は人と密接なかかわりを持っている。したがって、人と犬の関係性や狂犬病対策の実施を規定する社会文化的要因を理解したうえで、公衆衛生及び動物衛生に配慮した対策構築を行うべきであると考えられた。口蹄疫被災農家の精神衛生に関する研究結果から、精神的ストレスや農家の畜産経営に対して熱心であることが口蹄疫被災後の経営再開に関連していることが明らかとなった。このことから経営再開の障害を取り除くことが復興の支援として重要であることが示唆された。また、殺処分を伴う口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザといった大規模な家畜感染症制御の在り方を議論する際には、畜産関係者や獣医師の精神衛生に配慮した対策を構築することが重要であると考えられた。家畜衛生および公衆衛生上極めて重要な家畜感染症の研究を通して、感染症制御の在り方を議論する意思決定者にとって有益な情報を提供したものと考えられた。近年、ワンヘルスおよびエコヘルスの重要性が世界的に認知されてきており、分野横断的に問題解決に取り組むことが家畜感染症制御において重要であるとされている。本研究論文は、動物衛生および公衆衛生上極めて重要な狂犬病と口蹄疫という2つの感染症の研究を通して、家畜感染症制御の構築の在り方と学際的な協調が問題解決において重要であることを示した。}, school = {酪農学園大学}, title = {Quantitative analyses for considerations on control measures of important animal and zoonotic infectious diseases}, year = {2018} }